なぜ不安と恐怖を感じるの?その感情の違いとメカニズムについて。

不安と恐怖の男性

私たちが日々を過ごす中で、
必ず起きてくるのが不安や恐怖といった感情です。



しかし、これらの感情は、
なぜ起こり、どこから来るんでしょうか。



できることなら不安や恐怖を感じることなく、
ずっと楽しいことで
暮らしていきたいものです。



この感情はあらゆる生き物に存在するため、
何かの「意味があるのでは?」と思い、
起こるメカニズムや違いについてまとめました。



この内容を知っておくことで、
不安と恐怖に対する見方も変わり、
何かしらのお役立てが出来ると思います。


不安は「モヤモヤ」した感情

モヤモヤ
不安という言葉は..


不 = 打消し
安 = 安心・安全


安心・安全を「不」で打ち消しているので、
不安と呼ばれています。



「値段が安い」も打ち消されると、
不安になります。(;^e^)




たとえば、大学入試には、
「合格する未来」もあれば「不合格になる未来」もあります。



このとき、
合格したい気持ちと、
不合格になったらどうしよう?などの気持ちが
何ともやりきれない「モヤモヤ」を起こします。



このように、
先がよく見えない霧の中にいるような感じが、
不安や心配の感情です。



では、
なぜモヤモヤすると不安になるかと言いますと、

自分の中に
「ハッキリした証拠」がない
ためです。



これには、


大丈夫な証拠 = 〇

大丈夫でない証拠 = ×

この2つがあります。



そして、
今回のような出来事があると、


+ × + + × + × + × + + × +


このように、過去の記憶から証拠を探し、
頭の中でくっつけていきます。



その結果、
「今の自分はより×が多い」になったので、
不安を感じるに至ったのです。




ちなみに、
この「大丈夫:〇」と、「大丈夫でない:×」

組み合わせて作った自分のイメージのことを



セルフイメージと呼びます。



ちなみに、
この「大丈夫:〇」を決めているのが
私たちの自信と呼ばれるものです。



極端ですが、ご飯を食べたり、スマホを見たり
寝るといったことは「絶対の自信がある状態」です。



これは、私たちの心身が
自信があることに対して「安心:〇」を感じているためです。



自信(安心、安全)がある状態
〇 + 〇 + 〇 + 〇 + 〇 + 〇 + 〇 + 〇 + 〇


もし、
ご飯を食べたりスマホを見たりするときに、
「大丈夫でない:×」ことがあった場合は、



自信(安心、安全)に欠ける状態
〇 + 〇 + × + × + 〇 + 〇 + × + 〇 + 〇



このように、
ほんの少しでも安心、安全に欠けてしまうと、
不安や心配が起きてきます。



ですので、「大丈夫:〇」がたくさんある場合は、
安心と安全の証拠がハッキリしている。
つまり、「自信のある状態」なのです。



自信には、
以下のような共通点があります。

  • 体験した回数が多い(経験豊富)

  • 好きなこと、得意なこと(楽しいこと)

  • 生活習慣の一部(慣れている)


何のためらいもなく、
定時で帰ることを繰り返している私は、
帰ることに自信がある状態(仕事ができない)とも言えます (´e`;


「ハッキリ」と感じるのが恐怖

驚く男性
恐怖とは..
「恐い」「怖い」と書きます。



意味的には両方とも同じですが、
『こわい』という字が2つもあるので、
まさに、こわくてしょうがない時の感情です。



不安と違うところは

ハッキリとした恐さを感じることです

恐怖(きょうふ)、または恐れ(おそれ)とは、動物や人間のもつ感情の一つで、こわいと思うことやその気持ち。

ブリタニカ国際百科事典によると、恐れの中でも具体的な事態になっておらず明確な対象があるがものが「心配」だという。また、具体的な事態になっておらず、かつ明確な対象もないものが「不安」だという。

参考:Wikipedia

そして、
恐怖には「突然来るもの」と、
「時間差で来るもの」があります。

突然来るもの
大きな地震

怪奇現象に遭遇

仮病で休んだ日に上司と遭遇

これはセルフイメージに関係なく、
いきなり恐怖を感じます。



そして、
もうひとつが、

時間差的なもの

  • 大学の受験が不安だったが

    ≫ 不合格になった

  • 身の危険を心配していたが

    ≫ 危険な目にあった

  • 怒られると思っていたが

    ≫ やっぱり怒られた

これは先ほどの大学入試の例で述べた、
不安に感じていたことが、明確になった時に感じます。


『大丈夫かなぁ?』モヤモヤ
+ × + + + × + × + + + ×



『大丈夫ではない!』ハッキリ
× + × + × + × + × + × + × + × + ×


このときに、
私たちの「脳」から、

  • アドレナリン

  • ノルアドレナリン

  • コルチゾル


こういった「ストレスを与えるホルモン」が分泌されます。



そうすると、カラダがソワソワしたり、
心臓がドキドキしたりして落ち着かなくなります。

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ですが、私たちのカラダは、
同時に「これらを対処するホルモン」も持ち合わせています。



これは、
カラダを大きく動かしたときや、
達成感、大きな感動、喜びを感じたときに、

  • エンドルフィン

  • ドーパミン

  • セロトニン


このようなホルモンが脳内から分泌されます。



これらは、精神を安定させたり、
痛みを和らげたりするはたらきがあります。



これを応用したのが、

  • ジェットコースター

  • スカイダイビング

  • お化け屋敷


こういったものです。



恐怖をあえて体感し、
快楽を得ることをエンターテイメント化しています。



これは、
「大丈夫!」という確信を得ている人のみ、
「楽しくなる」という特徴があります。



ですので、
大丈夫という確信が少ない私にとっては試練でしかなりません (´e`;


不安と恐怖は「命を守る」メッセージ

ボトルメッセージ
不安と恐怖が起こる「きっかけ」としては、
大きく分けて2つあります。



それが、
から来るものと、
内から来るもの
です。

外から来るもの
自然現象

地震、台風、大雪、隕石など

物理的なもの

仕事作業、車の運転、高所など

情報

TV、インターネット、会話、本など

人間関係

家族、ご近所、職場、学校など

内から来るもの
身体的なこと

ケガ、病気、体の変化など

心因的なこと

不快感、思い込みなど

これらは主に、
思考、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を通して脳内に伝わります。



そして、
とくに心の不安は「思考」から起きてきます。



そのとき、脳にある扁桃体という器官が、
海馬の記憶を呼び覚まし、過去に体験したものと同じようなイメージを照合します。



照らし合わされたイメージによって、
安心・安堵または不安・恐怖という感情が作られます。



たとえば、
会社で何か失敗すると、

怒られるかもしれない

いじめられるかもしれない

クビになるかもしれない

このような不安を感じます。



これは、
このあと自分に「悪い影響が起こるかも?」
と感じています。



ですが、実際は
『命に関わるから怖い』と、
私たちの防衛本能が反応しているのです。


防衛本能とは?

防衛する戦闘機
防衛本能とは、私たちを含め、動物や鳥、昆虫など
すべての生き物に備わっている『命を守るプログラム』です。



基本的に、
脳内にある扁桃体が「恐怖」を感じたときに、
以下のような反応をカラダに伝達します。

役割
逃げる。または攻撃する。

痛みを取り除く。

元の状態に戻す。

防衛本能がはたらいているおかげで、
私たちは自然と危険や災難から逃れるようになっています。



このことから、
会社での失敗に不安と恐怖を感じるのであれば、
防衛本能が「危険を回避する方法」すなわち、
命を守るためのメッセージを伝えているのです。


不安と恐怖だけ無くせないの?

悩む男性
不安や恐怖だけを無くし、
楽しいことだけで毎日を過ごすことができるのでしょうか?



もし、無くせるとしたら、
下図の③【脳幹】爬虫類脳が関係してきます。


脳の3層構造

①【新皮質】人間脳

情報処理や言語、イメージしたり論理的な思考をする、人間特有の新しい脳です。

②【旧皮質】哺乳類脳

動物脳とも言われ、社会の秩序を作ったり、
喜んだり、怒ったりする感情を持っています。

③【脳幹】爬虫類脳

私たちの防衛本能がある場所です。
すべての生き物が持っている脳で、
不安や恐怖はここから来ます
生きるための脳とも呼ばれており、生命を維持する役割もあります。


この爬虫類脳には、
大きく分けて4つの役割があります。

  • 食欲

  • 睡眠欲

  • 性欲

  • 生理現象


基本的に心地よさを作り出すのが役割で、
食欲と睡眠欲は、末永く生きるのを目的としています。



そして、
性欲は種を繁栄するのを目的としています。



爬虫類脳は、心地良い状況が無くなったり、
妨げられたり、奪われたりすると不快になります。



そうすると、
必ずもとの状態に戻す行動を起こさせます。



これを、
恒常性(ホメオスタシス)と呼びます。



私たちの本能は常に心地良さを求めているため、
不快を感じたら「それを取り除く行動」を起こします。



それが、次の通りになります。


爬虫類脳代表

トカゲが不快を感じると..

  • 逃げる、隠れる

  • 攻撃する

  • 身を守る(治癒する)

哺乳類脳代表

イヌが不快を感じると..

  • 逃げる、隠れる

  • 攻撃する、怒る、吠える、唸る

  • 身を守る(治癒する)、悲しむ

人間脳代表

私たちが不快を感じると..

  • 逃げる、後悔、劣等感、罪悪感、嫌悪

  • 攻撃する、怒り、嫉妬、憎しみ、不満

  • 軽蔑、恨み、空虚、苦痛、悩み、恥ずかしい

  • 不安、恐怖、焦り、がっかり、心配

  • 身を守る(治癒する)、泣く、悲しむ、寂しい

このように人が「不快」を感じると、
これだけの感情が起こります。



ですので、不安や恐怖に対して、
とてもセンシティブ(繊細)だと言うことが分かります。



私は過去に、
不安や恐怖を感じてはダメだ!と思ってましたが、
反対に「人はこれだけシビアな危険」に気付けるということです。



そのため、爬虫類や動物たちよりも、
「安全確保の能力に長けている」と言えるかもしれません。



そして、これらの感情は、
もとの「心地良さへ戻すための
力」になるので、
決して「ダメな事」でもありませんよね。



このことから、
不安と恐怖は
私たちを危険から守るセンサー
です。

エンディング(まとめ)

今回は不安と恐怖のことをお伝えしましたが、
少しでもお役立てになって頂けたら嬉しいです。



仮に何かの拍子で、
恐怖を消せた人がいた!という事があっても、
それはそれであらゆる危険に立ち向かう機械的な人間になってしまいます。

機械
消せた本人としては、
「恐怖を感じない無敵の体を手に入れたよ!」
と歓喜に酔いしれるかも知れませんが..



育て親にして見れば、

子が何もためらわずに危険に身を投じるので
心配で仕方ありません。



そういった意味でも、
不安や恐怖は私たちが安心・安全に生きるために、
危険から身を守ってくれる大切な感覚なのですね。




最後まで記事をご覧いただき、
ありがとうございました。( 人ё )☆