悲しいことがあった時に。気持ちを落ち着かせる為の3つのこと。

大切なものを失ってしまった。

頑張ったことが水の泡になってしまった。

愛する人が居なくなってしまった。



このような出来事が起きたとき、
胸が苦しくなると同時に、悲しい気持ちになります。



そのことを忘れるために、
楽しいことしたり気にしないようにしても、
何かのタイミングで再度悲しみは思い出されます。




これは、
「失ってしまった..」「傷つけられてしまった..」
といった「事実」によって、心に大きな穴が空いてしまうためです。




その事実が大きければ大きいほど、

悲しみという感情は、ずっと心の中に残り続けます。



ですが、この悲しい気持ちは
日々受け取っていた「大切なもの」を、
心と身体に「伝えてあげる」ことで手放していくことができます。



今回は、
私たちの「心のしくみ」の解説とともに、
悲しい気持ちを穏やかにする方法をお伝えするべく、



気持ちを落ち着かせる為の3つのこと。



を紹介します。



本記事が「心の処方箋」になれば幸いです。

どうして人は「悲しく」なるの?


悲しみは、
「自分の信じてたものが失われたとき」に起こります。



そして、
その感情は「記憶を司る海馬」によって引き起こされます。



どういうことなのか説明しますと、
私たちの脳内にある扁桃体(へんとうたい)
記憶と感情に結びついているためです。

ちなみに、
私たちのまわりで起きる出来事は
必ず「ここ」が厳重チェックをします。



どうしてなの?と言いますと
それが自分にとって

  • 安全なのか

  • 危険なのか


を判定するためです。

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たとえば、私がジェットコースター」
どうしても乗らないといけない場面になったとします。




このとき私の扁桃体は、
記憶を管理している海馬から
ジェットコースターに関する思い出を引き出します。

これは、
今から起きる出来事が私にとって
安全なのか危険なのかを調べるためです。



このあと、
脳の大脳皮質(だいのうひしつ)という場所が

その思い出を「色鮮やか」にします。

もし、
私の思い出の中に

  • 乗る前に感じた不安や心配

  • 乗ってるときの恐怖感

  • 終わった後の茫然自失


こういったことがあれば、
扁桃体は危険と判断します。



仮に、

今まで乗ったことがなくても

  • 絶叫する悲鳴をきいた

  • まわりの人が怖いと言っていた

  • 動画を見て怖さを感じた


このような情報があれば、
同じく危険と判断し、不安や緊張が起きます。



そうすると、
脳は
ノルアドレナリンという物質を促し、
交感神経をはたらかせ、心拍数を上げます。



これは、
カラダを活発なアイドリング状態にすることで
いつでも危険から逃げられるようにするためです。

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しかし、逃げることもできず(;´e`)、
現実を受け止めなければならない状況になると、

  • どうしてこんなことに..

  • どうすればいいのか分からない..

  • 乗れない自分はダメな人間だ..


このような「落ち込んだ気持ち」になります。



これは、

いつもなら、
コーヒーカップに乗るはずだった。

いつもなら、
メリーゴーランドに乗るはずだった。


こういった感じに、
私の中のいつもの安心が失われたからです。



そして、この安心は
今回も必ずあると信じてたものです。



このように、
必ずあると信じている思いのことを

Belief system(ビリーフシステム)と言い、

  • 思考:物事の考え方、捉え方

  • 感情:物事に対する想起、反応

  • 習慣:自身の決まりごと(ルール)

  • 心情:自身の誇り(大切な思い)


こういったことを形作っています。



これはシンプルに言いますと、

自分が長い時間を過ごしてきたもの。

たくさん経験してきたこと。

たくさん感じてきたこと。

になります。



ですので、
先ほどの私で言えば

  • コーヒーカップで安心を得たこと

  • メリーゴーランドでの楽しい思い出


こういったことを「たくさん経験してきた」ので、
これを「ずっと信じてた」のです。



しかし、その必ずあると思っていたものが
ジェットコースターによって無くなった。



つまり、
あると信じてたものが失われた
ので、悲しみに至ったのです。



このような「たくさん経験したこと」には、
親しみ・愛情・安心・幸せといったものがあります。



言い換えると、
自身の心の思いが深く結びついているので
失ったときほど悲しみも深くなります。



そして、私たちは
その「大きな心の思い」を常に持っています。



それが、


家族と過ごした時間

親友、愛する人と過ごした時間

自身の誇り(大切な思い)

親しんできたもの・場所
です。


悲しみを「なくす方法」はあるの?

私たちが悲しみを感じるのは、
過去の強い印象が関係しています。



そして、それを取り扱っているのが
先ほどお伝えした海馬(かいば)です。



ちなみに海馬は、

  • 短い時間の出来事

  • あまり経験しなかったこと

  • インパクトの弱いもの


こういったことは、
長いあいだ覚えられません。



ですので、
先ほどの私のような大したことない
悲しみは、
海馬に新しい情報が入るたびに消えていきます。




ですが、

  • 家族やペットとの別れ

  • 親友、愛する人との別れ

  • 自身の心を傷つけられる

  • 大切なもの、場所を失う


こういった深い悲しみは、
すぐに忘れることはできません。



これは、

  • 安心

  • 愛情

  • 幸せ


といった印象が
心に大きく刻まれているためです。




長い年月であるほど、長く親しんできたほど
それは心の中に「鮮明」に残ります。



私たちは、突然の出来事が起きると
実感がない、信じられないと感じるときがあります。



これは、
脳が「今も続いている」と思い込んでいるためです。




ですので、大きなものを失ったときに
事実を受け止められなくなるのは、



人として普通に起きることなのです。




そして、
私たちは失った事実が分かりはじめると
それは「悲しみ」となって現れます。



このときに、

大きく落ち込む

胸が締めつけられる

無力や失望感が起きる

挫折や脱力感が起きる

泣いてしまう

寂しくなる

こういった状況になります。



これは、
扁桃体が安心と判定していた心の場所に
大きな穴が空いてしまったからです。

今その場所が180度不安に反転してしまい、
穴の大きさだけ恐怖を感じてしまってるのです。

このときの大きなギャップが、
強い悲しみとなって沸き上がってくるのです。



しかし、その空いてしまった穴は
心に「大丈夫である事実」を教えてあげると、

少しずつ修復することができます。



先ほどの例で言いますと、
私がジェットコースターを乗り終えるたとき


  • 意外と大丈夫だった..

  • 思ったほど怖くなかった..

  • 何であんなに怖がってたのか..


こういった印象を受けました。



このような「大丈夫だった事実」を受け取ると、

その印象は脳に深く記憶されます。



そうすると、また同じ出来事があったときに
前回は「大丈夫だった」ので、扁桃体も「今回も大丈夫なのでは?」と思い始めます。



その結果、
以前よりも危険という認知が弱まり、
出来事に対する不安や恐怖も弱まります。



つまり、
たくさん大丈夫だった事実を経験すると、
それに応じて安心が作られていくのです。




ちなみに
悲しみの原型になっているものは、

不安や恐怖といったものです。



ですので、少しずつ
自身の心に安心・愛情・幸せである事実を与える。



そうすることで、
扁桃体の敏感さも弱まると同時に、
悲しみもだんだん消えていきます。


気持ちを落ち着かせる為の3つのこと

素直な「心の気持ち」になる

悲しみ感情のもとになっているのが、
私たちの扁桃体が起こす不安や恐怖です。



このとき、脳からは
ノルアドレナリンが多く分泌されます。



これは
ある一定量であれば、

  • 集中力の向上

  • 行動に対する積極性の向上


このような効果に繋がります。



しかし、悲しみが強いときは
ノルアドレナリンが一定量を超えるので、
これが「毒性」に変化します。




そして、
この状態が長く続いてしまうと、

  • 免疫機能の低下

  • 内臓機能の低下

  • 脳の機能の低下


このようなことが起こり、
心身に大きな影響をもたらします。



ですが、
こういった状況をすぐに対処できる
私たち「人」だけに与えられた唯一の能力があります。



それが、
涙を流すことです。



人は涙を流すことによって、
セロトニンという心を安定させる物質を促します。



そうすると、
毒性を帯びているノルアドレナリンを抑制し、
心とカラダを正常な状態へ戻します。



ですので、
悲しみが大きいときは

心の気が済むまで泣いてください。



そして、
スポーツ飲料で水分補給してください。



よく、
悲しくても「涙をこらえる」「我慢する」
ということがありますが、それは絶対に止めましょう。



なぜなら、
悲しみの感情を止めてしまうと

  • 無力感

  • 失望感

  • 脱力感

  • 倦怠感


こういった感覚が大きくなり、
「うつ」に発展する可能性があります。




私たちの心とカラダは、
常にベストな状態を保つことが役目です。



そのため、心身に異常が生じたときは

心とカラダを防衛する反応を起こします。



不安や悲しみを感じて涙することは、
いい大人が「みっともない」と思われるかもしれません。



しかし、
このような自然と湧き出る感情には
心身を守る「ちゃんとした理由」があります。




悲しいときは、ご自身の「心の気持ち」を、
十分感じさせてあげてくださいね。(^e^)


気持ちを「外」に解放する


前述のように、私たちの心身は
常にベストな状態を保つようになっています。




そして、
その管理をおこなっているのが「脳」です。



私たちの脳は、
「心」と表裏一体であると同時に
カラダとも密接に繋がっています。



そのため、心が感じていることは
思考・感情・カラダを通して「外」に出てきます。



たとえば、赤ちゃんはまだ力が小さいので、
大人のように自分で身を守ることができません。




なので、心が何かの危険を感じると
脳が5感を通して悲しみを外へ知らせます。



このとき、
赤ちゃんは大きな声で泣きますが
これは「心が感じている思い」を精一杯伝えるためです。



私たち人の心は生まれたときから、
まわりに「気持ちを知ってもらいたい」という仕組みになっているのです。



このことから、
悲しみが続くときは

  • 両親(育てた人)、兄弟姉妹

  • 親しい友人、恋人

  • 長い付き合いのある人


こういった打ち明けられる人に、
悲しい気持ちを聞いてもらいましょう。



そして、
自分の心の気持ちを伝えてください。



それがむずかしい場合は、
紙に書き出していくという方法もあります。



いま感じている悲しい気持ちを、
どんな小さなことでも「すべて」書き出しましょう。



ここで重要なのは、
心で感じていることを「外に出すこと」にあります。



そうすることで、
自身が事実を受け入れることができます。



私たちの心は、
失ってしまった大きな安心・愛情・幸せを、
少しずつ時間をかけて修復していきます。



それには、
少しずつ「事実」を受け入れていく必要があります。



どうしてなの?と言いますと、
私たちの心とカラダは、現状の変化にとてもデリケートです。



そのため、
失ってしまった大きな変化(事実)を、
すべて受け取ることができません。



なぜなら、
大きな変化の受容に耐えきれず、
心身が大きな損失を受けるためです。



その結果、
脳はそのリスクを避けるために
悲しい事実を受け取ろうとしません。



私たちが幸せだった過去を見てしまうのは、
心身を守るために「事実を見ない」ようにしているのです。



しかし、現実に目をつぶってしまうと
過去を見るたびに悲しみは付きまといます。



ですので、少しずつ時間をかけて
心に事実
を教えてあげてください。



そうすることで、
過去を思い出すたびに感じる悲しみは、
少しずつご自身のもとから離れていきます。


受け取っていた「大切なもの」に気づく


私たちの心は、
事実を受け入れることによって修復していきます。



悲しみの感情は個人差によりますが、
長くても「20日くらい」でおさまります。



これは、
脳の記憶を形成するニューロン神経回路が、
3週間ほどで新しいものに変わるためです。




そうすると、
新しい情報が脳にインプットされるたびに、
悲しみも少しずつ消えていきます。



ですが、悲しい出来事「そのもの」は、
忘れることができません。



楽しいことで気を紛らわせたり、
アルコールに浸って一時的に消せたとしても、
その記憶は存在し続けます。



このとき重要なのは、
日々受け取っていた
大切なものに気づく
ことにあります。



悲しみが強いときは、

  • 自分の無力感

  • 自分への後悔

  • 自分への罪悪感


こういった、
自責の念に駆られるかもしれません。



やりきれない思い、悔しい思い、
とても辛く、寂しく、悲しいです。



しかし、
その失ってしまったものには


今まで自分に安心をくれていたこと

今まで自分を愛してくれていたこと

今まで自分を幸せにしてくれていたこと


こういった、
日々受け取っていたものがあります。



これは、ご自身が再び
新しい幸せを築く大切なものです。



大きな悲しみは、
今まで心の中にあった幸せが、
大きく無くなることで起きます。



ですが、
その無くなってしまったと思える場所には
日々受け取っていた大切なものがたくさん残っています。



悲しい出来事に直面したときは、
立ち直るのに時間を要するかもしれません。



そのときは、
過ぎ去った日々の中に存在した「大切なもの」を
ゆっくり時間をかけて思い出してみてくださいね。



その情景が消えないかぎり、私たちの心は再び
新しい安心・愛情・幸せを築き始めていくことでしょう。


エンディング(まとめ)


今回のお話しは、

1.自身の気持ちに素直になる

素直な心のままに、涙を流しましょう。

2.気持ちを外に解放する

心で感じている気持ちを、
打ち明けられる人に聞いてもらいましょう。

3.受け取っていた大切なものに気づく

いつも受け取っていた大切なものを、
時間をかけて心に教えてあげましょう。

になります。


私たちが生きていく中では、
愛する人との別れ、大切なものとの別れは必ずやって来ます。




長い月日を重ねてきたほど、
たくさん親しんできたほど、
それは大きな心の悲しみになります。




胸が苦しくなって涙がこぼれるのは、
それだけご自身の愛した「存在」が大きかったんですね。




そして、
それだけご自身のそばに居てくれたんだと思います。




人は同じ時間をたくさん過ごすと、
大切なことを忘れてしまうものです。




いま感じている安心や幸せも、
たくさん過ごしてきた時間が作り上げてきたものです。



私たちの中にある大切なものは、
こういった時間によって作られます。



ですので、
いつもご自身のそばに居てくれる「存在」を
ずっと大切にしてくださいね。